気持ちを切り替えてヴュルツブルクに戻り、今回の旅行ではニュルンベルクを諦めて、ローテンブルクへは明日行くことにした。
駅からタクシーでマインフランケン美術館へ向かったが、館内に入るなり、引き返してよかった!と思った。
ここには70点以上のリーメンシュナイダー関連の作品が収蔵されており、いわば宝庫。
それだけに、マインフランケン美術館が閉館だの開館だの・・・ という情報に振り回されてぐったりしていたのだが、数々の貴重な作品を見ることができた。
(余談ですが、日本から持ってきたガイドブックには地図もろくに載っていなかったので、捨ててしまいました 笑)
ここでは印象的なものを紹介。
《Leuchterengel》
リーメンシュナイダー(1505頃)
燭台を持つ天使の一部。
《Hl.Stephanus(聖ステファノ)》
リーメンシュナイダー(1515~1520頃)
キリスト教の最初の殉教者・聖ステファノ。助祭であったステファノは石打ちの刑にあって殺されが、そのことを示す「石」を持っている。
ステファノの拷問の様子は、後に回心して初代教皇となるパウロ(当時はサウロ)も見物していたという。
虫食いの跡
日本の仏像には樟(クスノキ)などの香木が用いられているために虫に食われることはないが、リーメンシュナイダーはじめこの頃の彫刻には菩提樹が使用されていたために、多くの虫食い跡が見られる(苦手なのでちょっと怖い)。
もったいないと思う反面、マルティン・フォン・ワーグナー博物館のマリアの涙のように見える亀裂は効果でもあるように感じるし、時間の経過による変化も作品の一部なのだということを感じさせられる。
《Hl.Bischof(聖司教)》
リーメンシュナイダー(1505~1510頃)
ミトラの表現がやわらかくて美しいと思った作品。
《Kruzifix》
《Doppelmadonna》
リーメンシュナイダー(1515~1520頃)
背中合わせの表裏一体の聖母子。1824年に取り壊された、聖バーバラ・カルメン教会(ヴュルツブルク)にあった作品だそうだ。
継ぎ目
上《Wappenstein des Pankraz von Redwitz》
リーメンシュナイダー工房(1498)
「ヴュルツブルクの旧Tannenberg大聖堂の参事の家のワッペン(現Paradeplatz 2)」だそうだ。
下《Tisch》
リーメンシュナイダー(1506)
「ヴュルツブルクの市庁舎にあったもので、Gabriel vom Evaがフランケンワインのお返しに市議会に送ったSolnhofenの石版を、リーメンシュナイダーが細工した作品」だそうだ。
《Die Vierzehn Northlfer》
ヨーク・リーメンシュナイダー?(1530頃)
諸聖人が掘られたレリーフ。聖キリアンが斬首されたミトラをかぶった自分の首を持っているなど、よく見ると興味深い。
《Lüsterweibchen》
リーメンシュナイダー(1515頃)
「ヴュルツブルク近郊のOchsenfurtの市庁舎にあったもの。Ochsenfurtの市庁舎は15世紀末に建てられている。中央のワッペンはOchsenfurtのもの。女性の上半身で装飾されたシャンデリアは当時はポピュラーだった」のだそうだ。
《Hl.Sebastian(聖セバスチャン)》
リーメンシュナイダー(1515頃)
特別に好みというわけではないのだが、とにかく手の表現が素晴らしい作品。
《Trauernde Maria(悲しみのマリア)》
リーメンシュナイダー(1505頃)
元はオクセンフルト近郊のアホルスハウゼン(Acholshausen)という町にあったのだそうだ。
想像していたよりもずっと大きいので驚かされたが、重さや大きさを感じさせず、宙に浮くように佇む静かで軽い作品である。透明感がありとにかく美しい作品で心を奪われた。
《Hl.Nikolaus(聖ニコラス)》
リーメンシュナイダー(1510頃)
「元はEhehaltenhausの礼拝堂にあったもの。その後他の博物館に保存されていたが大戦で焼失したと考えられていた。だがある男がこの像を発見し、1950年に博物館に戻された」のだそうだ。
《Adam(アダム)》
リーメンシュナイダー(1492~1493)
ヴュルツブルク市議会から制作を依頼されたもの。マリエンカペレの外周にあるアダムのオリジナル。台座もこの博物館に収められている。
《Eva(エヴァ)》
リーメンシュナイダー(1492~1493)
ヴュルツブルク市議会から制作を依頼されたもの。マリエンカペレの外周にあるアダムのオリジナル。台座もこの博物館に収められている。
《Hl.Barbara(聖バーバラ/バルバラ》
リーメンシュナイダー(1510頃)
「ヴュルツブルクのEhehaltenhausの礼拝堂にあったもの」だそう。
小ぶりながらしっかりとした作品で、完成度も高く存在感がある。
《Kruzifix(磔刑)》
リーメンシュナイダー(1515~1520頃)
ヴュルツブルクのビュルガーシュピタールにあった十字架。
《Grabstein für Tilman Riemenschneider(ティルマン・リーメンシュナイダー墓碑》
ヨーク・リーメンシュナイダー(1531)
ドームの工事中に再発見された墓碑。息子のヨークが作成したというのが印象的。