昨年末は韓国での公開時にソウルで映画を観る機会に与り、幸運にも俳優陣の舞台挨拶も目にすることができたが、この度はこの映画の他言語版(英語版と日本語版)のDVDを観ることができ、台詞を理解することができた(英語版はやや誤訳あり?)。
同時に韓国で販売されている特典映像つきDVD(韓国語)では、撮影現場の様子やカットされた映像(結構面白い)を見ることができて、当初ユ・ハ監督が描いていた全体像を何となく把握することができた。
公開前の「長すぎる」との意見から、公開された映画は10分ほどカットされたものだったそうだが、この度のDVD(日本語版)には、このカットされた10分の映像も含まれている。この映画を特別長いとは感じなかったが、カットされた10分は確かにカットされてもよい場面で、だからといって、この10分が退屈であるようにも感じられなかった。カットによって結果的によりよくまとめられたという印象だった。
ストーリーは映像だけで理解したものと変わらなかったが、改めて映像だけでここまで理解させられることに監督や俳優陣の力量を感じさせられた。
約5ヶ月ぶりに観ることになったが、いくつかの場面で台詞を知りたいと感じさせられていたため、「ああ、こういうことを言っていたのか」ともやもやが無くなり、また言葉を理解しないとわかり得ない背景を知ることもできて、やはり理解できる言語で観ることにはありがたみを感じた。
特別に退屈する場面はなかったのだが、台詞によってさらに退屈感も取り除かれたように思う。
特に感じたことは以下の通りである。
劇中ではチュ・ジンモ演じる王の優しさや、チョ・インソン演じる護衛武士への狂気じみた執心ぶりが感じられるが、王の護衛武士に対する愛情の深さ、どんな状況でも「ただ側にいてほしい」という王の心情をより深く理解することができた。
同時にチュ・ジンモの演技の上手さを実感させられ、この役の後に王妃役のソン・ジヒョの二人にはオファーが殺到したということにもうなずくことができる。
某人が言っていた「(2人の役者は)次の作品を選ぶのが大変」というのにも大いに納得。その意味では、この役を終えて空軍に入隊したチョ・インソンの決断は鮮やかだったと言えるように思う。
台詞の理解によって、映像だけで観るだけよりも、ホンリムという護衛武士自身の存在や印象が強くなった。厳しいようだが、これは“台詞がなければ護衛武士を演じきれていなかった”と言うこともできるかもしれない。
本人自身が「映画の良さを伝えられないのだとしたら、それは僕の演技力が及んでいないからだと思う」と言っていたのを思い出したが、(台詞の理解なしでは到底わかりえない部分があるのだが)チュ・ジンモの演技には台詞を超えた何かが感じられた。
爽やかなイメージの青春スターから本格俳優へと転向する過渡期にあるチョ・インソンは、先にも書いた通り一ヶ月ほど前に空軍に入隊し、全てを見せてしまったとも言える“あの役”の後に一旦芸能界から姿を消すこととなった。
このタイミングで軍隊に入隊することを惜しまれているようでもあるが、個人的には、人間的な意味での成長が期待される軍隊生活によって、復帰後にはチュ・ジンモを上回る深みのある演技が期待できると感じている。
チョ・インソンについて詳しくは知らないが、ハンサムなだけではなく、人間的な面でも魅力のある、性格のよい真面目な俳優であるからこそ、さらなる演技力を身につけて華やかにカムバックしてほしいと思う。
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写真は霜花店公式サイトから転載させていただいています。
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