というか、この映画について書くのは3回目なのですが・・・
それぞれ違うシチュエーションの中で見ているため、今回は1回目+2回目の感想をまとめたような内容になっています。
チケットをいただき、来年2月から公開がはじまる映画(ミニシアター系ですが)、「霜花店(サンファジョム)~運命、その愛」のジャパンプレミアに行ってまいりました。
何でも超入手困難なチケットだったのだそう。。。 そうと知らずに軽い気持ちでフラフラと劇場に向かいましたが、この場を借りてプレゼンターに感謝申し上げます。
今回は三名の主演のうちのお一人、チュ・ジンモさん(左のポスターの右の人、右のポスターの左の人)が来日されました。
昨年12月に韓国で上映されたこの映画。韓国映画というとミーハーな韓流イメージがあるかもしれませんが、それでもこの映画は格別で、ご縁あってDVDを含め5回目の鑑賞でした(マイケルのThis Is Itを超してます 笑)。
しかも今回が一番泣きました。泣かないようにガマンしていたら頭まで痛くなりました。
ゲイ映画にして、過激すぎるシーンも多いためにR指定という、韓国でも話題の映画でしたが、そんなのは別にたいしたことなくて(というかどーでもいいし、それで騒ぐのはナンセンス)、高麗時代の歴史映画にして悲しい悲しい愛の物語です。
「マルチュク青春通り」「卑劣な街」などのユ・ハ監督の最新作ですが、この監督は人気俳優を起用しているものの、いわゆる韓流映画(イメージの中の)とは異なり、ニュアンスに富んだ何とも言いようのない繊細な感情を表現する監督です。思春期や若い頃に、誰しもが経験した切ない感情を、映画を通して体験させてくれる監督、とでも言えるでしょうか。
映画には重要な「大衆性」という観点から、作品ごとにわかりやすさが増してきているように感じますが(それが監督の悩みでもあると思いますが)、詩人だったというこの監督の独特の世界観がとても好きで、「霜花店」もやはり素晴らしい作品です。
この映画は、ゲイである王と、少女マンガのような美男子の護衛武士、そして王から愛されることのなかった王妃の三人の、繊細で悲しい愛の物語です。
韓国ではストーリーがわかりやすすぎる(単純すぎる)という意見もあったようですが、この映画はストーリーを楽しむ映画ではなく、むしろシンプルなストーリーだからこそ、人の心の機微という微妙なニュアンスが味わえる映画であるように思います(複雑なストーリーではこの作品が壊れてしまいそう)。
なので、ネタバレでも全然問題ないと思うので、ごく簡単にストーリーを。
後継者問題の中、王(ゲイ)は寵愛する護衛武士に、王妃との間に後継ぎを残すように命じ、そのために護衛武士は王妃を知ることになりますが、この王妃の存在によって王と護衛武士との関係が壊れることに。王妃によって人を愛することを知った護衛武士は、次第に王から気持ちが離れてゆきますが、それでもなお護衛武士を愛する王は、何としてでも護衛武士を側に置こうと次第に狂気を帯びてゆき、クライマックスを迎えます。
物語の後半、すでに関係が壊れはじめた王と護衛武士とが、互いに複雑な気持ちを胸にしながらも、かつてのように共に琴を奏でるシーンがありますが、言葉を交わすことはなく、しかし幸せだった頃を懐かしみながら、かすかに微笑み合うだけのこの場面が、とても悲しく、また一時の安らぎのようでもあり、とても印象的でした。この映画の妙はここに凝縮されていると言えるのではないかと思います。
また映画を通して俳優の演技力が目立っており、王役のチュ・ジンモは圧巻(ゲイの王様という設定も、どこか女性的なチュ・ジンモにはぴったり)。目だけで感情を表現する、素晴らしい俳優さんだと思いました。
王妃役のソン・ジヒョは女性にしては珍しく落ち着いた低い声ですが、この声もまた魅力で、自然な顔の美しさやゴージャスすぎない身体を持った女優を選んだというユ・ハ監督の意図には頷けるものがあります。劇中に彼女が歌う歌が、とても淋しいメロディーなのですけれど、何とも言えない良さがあります(音楽賞を受賞しただけあって、音楽を思い出すだけで泣きそうになります)。
護衛武士役のチョ・インソンは、王に飼われていた “籠の中の鳥” が向こう見ずに飛び立ち、そして果てる、若さゆえの衝動を初々しく演じていたように思います。日本語の字幕つきを見てはじめて台詞を理解しましたが、言葉を理解することで、より演技の良さが現れてくるように思いました。加えて、爽やかなイメージの大人気青春スターがこの映画の撮影を通して成長し、本当の役者さんになったのだなあ(なろうとしているのだろうなあ)と感じさせられました。
邦題は「霜花店(サンファジョム)~運命、その愛」ですが、「運命・・・」はつけずに「そうかてん」と読ませればいいのにぃ~、でもサブタイトルがないとわからないかもぉ~ などと、個人的には思っています。
☆☆☆☆★(4.5点/5点満点)
ところで、最近見た映画では、同じく韓国の映画「You're My Sunshine」(主演の俳優さんがちょっと貴乃花親方に似てる)と、吉永小百合と竹中直人が主演の「まぼろしの邪馬台国」がよかったです。あともちろんマイケルの「THIS IS IT」ね。
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写真は霜花店公式サイトから転載させていただいています。