Wednesday, April 26, 2006
Saturday, April 1, 2006
Sakura
ミサに与るために夕方家を出たが、いつになく大渋滞していた。皆、同じ目的をもって外出しているのだろう。
ここ数日の中で比較的暖かだった今日は土曜日。この辺りでは今年の桜がピークを迎えているのである。
今日の集まりにはさほど関心がなかったことも相俟って、気の向くまま桜を見物しに行くことにした。
近所の花見場へ到着すると、人・人・人。観光地で大勢の人の波にもまれるのは大嫌いなのだが、不思議と今日は多くの人たちとともに歩くことが楽しかった。
老若男女、それに犬。ここにいる人たちは、いままさに満開の桜が櫛比する川縁に、花を愛でる目的だけで集まってきていた。
昨年の桜はたらたらと長い間咲き続け桜らしからぬ様相を呈していたが(それはそれで桜好きの私にとっては嬉しい限りの現象だったが)、今年は短い時間で一気に咲きそろい、全ての木々枝々に見事な桜を花開かせていた。学生時代に上野公園で見た夜桜に匹敵するほどの美しさだった。
川面に写る雪のように白い桜の森に、提灯の灯かりがチラチラと瞬いていて、この情緒と、道行く人の明るい表情とに、懐かしい日本人らしさが感じられた。
寒空の下で見かけた多くの犬たちは皆、防寒のために重装備をして桜を眺めていたが、「パールも連れてきてあげたかった」と、ふて寝しながら留守番をしている我が愛しの飼いネコを何度も思い出した。
帰り道、別の花見場である寺に立ち寄り、名物のしだれ桜を見物した。美しくライトアップされたバロック風の幽玄なたたずまいは圧巻で、ソメイヨシノとは一味違う退廃的な美しさに思わず見とれてしまった。
ここの寺は愛猫の葬儀を行った寺でもある。一昨年の夏に訪れた際は、青々と茂った竹林を吹き抜ける爽やかな風に、「ネコたちの葬儀を快適な寺で執り行えてよかった」と感じたものだったが、見事なしだれ桜を目にして、今日もネコたちのことを思い出した。
堂内に上がり込み、釈迦の誕生(4月8日)を祝う甘茶まで飲んで暖をとり、満足しながら家路についたが、定例の集まりをサボッた甲斐があったと妙な充実感があった。
明日は雨が降るらしい。この時期の “時々雨” という予報には、毎年例外なく残念な思いがあるのだが、今年は桜が散る儚さを味わってみるのもいいように思った。